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エンジニアリーダー2名が語るPxDTへの転職の理由。ダイレクトにモノづくりができる環境を求めて

2024/03/13

日栄 悠  (KOTOWARI事業部 開発責任者)
外園 喜大 (hackke事業部 開発責任者)

※所属組織名、役職やPJの内容などはインタビュー当時のものです。

プロダクトにより広く深く関わりたい

ーお二人のこれまでの経歴と、PxDTへ入社を決めた理由を教えてください。

日栄 学生時代は情報工学や機械学習を専攻し、2009年に自動車会社に入社しました。入社後は自動駐車システムなどのADAS領域(Advanced driver-assistance systems)で、先行開発から量産開発まで幅広い業務に携わりました。自動車メーカーは実際に車を運転されるお客様にとって嬉しい機能やその仕様を検討し、サプライヤーが量産品質で開発することが多いですが、自動車メーカーが独自に開発する新機能は、サプライヤーが直近開発対象としないチャレンジングな取り組みが求められ、学ぶ点も多かったですね。

PxDTには2022年に中途入社しました。前職での13年間には新しい挑戦や新規開発の機会もあった一方で、性能向上など同じ対象に向けた開発をし続けることも多く、もっと広く自分の技術を磨きたいと考えるようになりました。また自動車メーカーでは課題解決の出口が車に限られてしまいますが、車以外の分野でも社会の役に立つ方法があるのではないかと考え、転職を決意しました。私はエンジニアなので限られた技術分野のみを任されがちですが、PxDTは事業全体に踏み込み、考えたアイデアを活かせる点を魅力に感じ入社を決めました。

外園 私は、学生時代にはエンジニアリングは学んでおらず、数学を専攻していました。卒業後はサプライヤー向けのソフトウェアを開発する企業に新卒入社し、3年間勤めました。入社後の研修期間に組み込み系プログラミングを学び、実際に業務が始まってからは、自動車サプライヤーを対象としたカーナビ機器や、自動運転向け車載カメラのファームウェア設計・開発に携わりました。車載カメラといっても、コアとなる画像認識領域には関わっておらず、部分的な開発を担当していました。そのため、経験できる業務の幅が限られており、事業やプロダクト全体が見えづらく、自分の手で作った実感を得られる環境を求めて転職を考え始めました。

私が転職した2019年頃のPxDTは、まだ若いスタートアップ企業で、チャレンジしやすい環境があるのではないかという期待がありました。一方で、リソースが少ないスタートアップの場合、挑戦の幅が狭まるのではという懸念もありました。その点、PxDTはCEO落合の知名度の高さもあって、社外から応援を得られやすいのも魅力でしたね。また、大学発のスタートアップということもあり、最先端の分野に携われるのではとの思いもありました。

ーお二人ともご自身の仕事の幅を広げたいというお気持ちがあったのですね。転職後のPxDTでの業務範囲はどういったものでしょうか?

日栄 KOTOWARI v360の開発リーダーをしながら、アルゴリズムの開発、及び、UI設計を行なっています。KOTOWARI v360は建設業界の生産性をあげ、業界の課題解決を目指すWebサービスです。建設現場で撮影した動画をクラウド上で画像認識アルゴリズムを用いて処理、使い易いUIを用いて写真を切り出し、最終的には帳票作成を可能にします。

また開発業務とは別に、ビジネスサイドと一緒にクライアント先へ訪問し、サービス仕様・コスト削減をはじめとしたKOTOWARI v360の価値や将来の可能性をお話したりもしていますね。ここは私自身が取り組みたい職務範囲で、どんどん首を突っ込んでいる感じです(笑)。事業開発の観点から、現場の課題をヒアリングして機能提案などを行っています。

外園 私は高精度屋内測位システムhackkeの開発リーダーです。

hackkeはすでにリリース済みプロダクトで、運用フェーズに入っているため、クライアントにフィードバックを聞きに行ったり、不具合の修正を行っています。hackkeはハードとソフトの両輪で成り立っているので、不具合を修正する場合は各領域の専門担当者に適切に指示をする必要があります。また、クライアントの声を元に、プロダクト自体の在り方を変える新バージョンの試作なども実験的に取り組んでいますね。

hackke自体はセンサーで位置推定をするシンプルなプロダクトですが、クライアントごとに活用方法が全く違います。例えばオフィスでは人流把握、工場では工数管理など、無限に活用用途があるため、事業成長のためにはこれからどういう機能を優先して開発していくべきかをビジネスサイドと一緒に検討しています。

ー開発業務以外のビジネスチームとの協働も多いのですね。各チームの体制はどのようなものでしょうか?

日栄 KOTOWARI v360の開発チームはアルゴリズムとWebの2つのチームがあり、業務委託を含め、10名ほどのスタッフがいます。私がアルゴリズムチームをみて、信頼できる優秀な同じチームのメンバーがWebチームをみています。

この体制は開発リーダーを任された時に、チームメンバーと相談の上、決めました。というのも、Webの知見が乏しい私が開発全体をマネジメントするよりも、Web側はより詳しいメンバーに任せ、自分がその分ビジネス側に滲み出た方が開発チーム全体のパフォーマンスが上がると判断したからです。PxDTはフラットな組織で、組織の在り方自体を自分たちで決められる自由さがあります。

外園 現在、運用フェーズにあるので役割を兼務している人も多く、はっきりとした人数は出しづらいのですが5名ほどのチームです。hackkeは物理的なモノがあるIoTシステムなので、スタッフの連携は多岐に渡ります。設計したハードにソフトウェアをどう組み込むか、Webにどう連携させるかなど、お互いに幅広い知識が求められますね。

ー開発リーダーとなっている「KOTOWARI」「hackke」の社会的意義および、企業等への具体的な提供価値を教えてください。

日栄 現在、建設業界は人手不足と品質が課題になっています。例えば、建築現場では担当の検査員が柱を1本につき10枚ほど撮影しながら検査・帳票用写真の作成をしており、1つの現場で多くて約1万枚の写真が撮影されています。KOTOWAR v360を導入すると、現場をぐるっと動画撮影し、後から動画から必要な写真を短時間で作成できるため、現場の人はかなり楽になります。

また、動画での撮影は、現場の透明性を保ちやすく、施工不良・不正を予防する仕組み作りにもつながります。現場で起こるこれらの問題は人手不足や時間不足で起こっている面もあると考えています。システムを活用し、現場把握が楽になることで現場状況の改善が進み、より高い品質で建設でき…結果、発注者様も安心できますよね。日本の建設技術力は高く、世界に誇れるので、それを動画で残し、世の中にアピールできるサービスに昇華したいとも考えています。

外園 hackkeは、高精度かつリーズナブルな屋内測位システムである点をアピールしています。スマートフォン等に搭載されているGPSは屋外を対象としたシステムで広く使われていますが、屋内はGPSの電波が届きづらく、現状、屋内測位のための決め手となる技術がありません。安さを求めると精度が低くなり、高精度を求めると高額となってしまいます。hackkeの提供価値は、実用的な精度を提供しながら、手の届く価格で使えること。業種によってユースケースはさまざまですが、今は製造業がメインターゲットとなりつつあります。hackkeによって作業員の動線を分析し、工場のレイアウトを再検討すれば業務改善を実現できます。

ルールが無ければ、国を巻き込んでも自分たちで作る

ー前職と比べるとお二人とも幅広くプロダクトに関わっています。その中で、一番大変だったお仕事を教えてください。

日栄 動画から帳票写真を作る上で課題となったのが、画像上での長さ計測でした。市販の取り回しが容易なカメラで撮影した画像の中のモノの長さを測る前例が無いのはもちろん、誤差の許容範囲の基準もありませんでした。今までにないソリューションだからこその課題でしたね。クライアントからはサービスへの好感触を開発段階よりいただいていたのですが、肝心の要求精度が決められず、その期間は苦しかったですね。

外園 プロダクトを世に出すのはやはり大きな壁でした。当時、私はメンバーとして携わっていましたが、hackkeはハードとソフトとが複雑に絡み合うため、開発時点では関わる人数も今よりも多く、かつ多様なバックグラウンドを持つエンジニアが集まっていました。

またハード開発はやり直しができないもののため、初期設計から作り込んでいく開発方法です。他方、ソフト開発はクライアントの声を取り入れて、小さく作って改善していく開発方法なので仕事の進め方が全く違うんです。真逆の方法を採用するチームが一体となって1つのプロダクトを作り上げるのは難しかったですね。

ーその大変な局面をどう乗り越えましたか? またご自身やチームにどういった変化・成長がみられたでしょうか?

日栄 計測方法や精度についての検討期間は、愚直に考え続けました。そもそも24時間何日もずっと考えることが好きなんです(笑)、苦しみながらもアイデアをひらめいては試してみたり、解決方法を模索していましたね。

また評価データも不足していたので、実際にビジネスサイドとエンジニア全員で色々な現場に行き、多くのデータを集めました。それらのデータを元に、外的要因によってどの程度誤差が出るのかなどを解析。チーム一丸となって取り組み、頭も体も動かし続けました。

結果的に最適な計測方法は見つかったのですが、課題として残ったのが誤差の許容範囲の決め方でした。許容範囲について、これまで現場で浸透していた感覚値はなんとなくあったのですが、前例が無いのでクライアントも「これならOK」とは言えないんですよね。そのため、クライアントと議論した精度値を元に国の有識者と議論して、ルールを作っていきました。ルールを誰かが決めてくれるのを待つのではなく、自ら作りに行くスタイルをチームで学びましたね。

外園 hackkeの開発はコロナ渦で行われました。非対面での組織運営、ゼロイチのものづくりと課題が多い環境でしたが、大切にしたのは日常的なコミュニケーションでしたね。slackでのやりとりはかなり活発だったんですが、その中でも、なんとなくの言葉で伝えてイメージのズレが起こらないように、仕様に落とし込む、ドキュメントを用いるなどの工夫を重要視していました。

リリースした際は、何も無いところからモノを作る仕事が出来たので、達成感がとても大きかったです。以前の職場では、ハードのエンジニアと話す機会もなく、自分の関わる部分のみを理解していれば仕事ができる状態だったのが、今は電子回路や電波に関する法規知識、輸送に関する衝撃試験など幅広い分野を理解する必要があります。大変ではありますが、自分自身の成長を感じています。

他者の刺激がアイデア創出につながり、まだ世に無いモノを生み出す糧に

ー開発をリードする立場として一番大事にしていることを教えてください。

日栄 自分たちの技術力不足を、実際にサービスを使ってくださるお客様に押し付けないことです。一見、解決できそうにない課題だとしても、いかに解決していくかを探究するようにメンバーにも伝えていますし、自分自身も気をつけています。

外園 メンバーが気持ちよく働ける環境づくりを大切にしていますね。特に開発から量産フェーズへ移行するタイミングは、納期が設定されて組織全体にプレッシャーがかかるため、チームの雰囲気にも敏感になる必要があります。いいプロダクトを作るためにも、メンバーの話をよく聞いて、労働時間が長くならないように調整し、全員が気持ちよく働けて良いパフォーマンスが出せるように配慮しています。

ーPxDTエンジニアに求められる資質は何でしょうか?

日栄 前職では、日常で自動車に乗っていただくお客様と直接話す機会はありませんでした。PxDTでは、エンジニアだとしてもどんどん現場の声を聞きに行って、真摯に向き合う姿勢が求められます。プロダクトは自分次第でいかようにも変わる可能性があるので、愚直に考えてとことんトライし続けるスタンスがあると、PxDTでの仕事を思いっきり楽しめるのではないでしょうか。

外園 勇気ですね。PxDTには幅広い業務を任せてもらえる環境がありますが、世の中には特定の領域だけをやりたいというエンジニアもいます。でもPxDTのエンジニアには、専門性を活かしつつも、コンフォートゾーンを抜け出して広い視野で仕事に携わる姿勢が必要です。ハードウェアエンジニアがソフトを知りに行ったり、逆にソフトウェアエンジニアがハードを学んだりと相互に刺激し合う環境が、世の中にないモノを作り出す基盤となっています。

私自身ソフトウェアエンジニアをバックグラウンドにしつつも、ハードウェア技術やものづくりに必須の法規や規格について学ぶ機会がありました。また日々事業開発のメンバーと議論しながらクライアントの課題やニーズをプロダクトに反映していくプロセスでは、技術面を超えて切磋琢磨していくことが求められます。自分の枠を超えていく勇気を持つと、最大限の成長ができると思います。

ー最後に今後、PxDTでお二人が目指したいことや実現したいことは何でしょうか?

日栄 前職の大企業では多くのサポートを受けながら世界初のプロダクトをリリースでき、PxDTでは小さい組織でありながら業界ルールを変え世の中を変えられそうな段階にたどり着くことができました。これからは、培ってきたエンジニア技術と事業視点を統合して、自分でゼロから事業を考えてプロダクトを作りお客様の元に届けることに挑戦したいです。

外園 hackke事業の視点では、誰もが手軽に位置情報にアクセスできる時代を創りたいですね。個人的には、日栄さん同様、ゼロからのものづくりを行いたいです。hackkeには開発フェーズからスタッフとして関わりましたが、ニーズの掘り起こしやマーケット分析など事業創出フェーズからのプロダクトリリースを実現したいです。

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