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音で新たな健康づくりの当たり前を生み出す。ビジネスと開発が一体となり、ゼロからの新規事業開発に取り組むPxDTの挑戦。

2023/08/21

事業本部
Bizdev ファンクション 事業責任者
辻 未津高
Development ファンクション 開発責任者
高澤 和希


※所属組織名、役職やPJの内容などはインタビュー当時のものです。

パートナー企業と共に「どんなものを作るか?」からのスタート

ーまずは、お二人の役割と業務内容について教えてください。

 私はプロダクトの事業責任者の立場で、主にビジネスサイドである商品企画、ビジネス化に至るまでのパートナー開拓やコミュニケーション、約15名ほどのチームメンバーのマネジメントなどの役割を担っています。
特に、高澤さんと一緒に開発した高齢者向けプロダクトでは、製品の実用化から販売に至るまでの工程で、コンセプト設計やスケジュール調整、広報・宣伝活動などの業務をメインで行ってきました。

高澤 私はエンジニアサイドの責任者として、研究サイドと連携しながら製品開発を担当しています。試作品の開発やその後の微調整、製造先との交渉、実際の量産立ち上げなど、辻さんはじめビジネス側とも密にやりとりしながら、実際の製品開発をリードしながら仕様を決めたり、タスク管理を行っています。

ーお二人が携わる高齢者向けプロダクトは、どのような流れで企画されたのでしょうか?

 4年ほど前に、あるビジネスピッチの機会がありました。当時、PxDTで研究していた光や音に関する技術について発表したところ、のちにパートナー連携する企業様が興味を持ってくださり、そこから具体的なお話がスタートしたという経緯です。
先方は、もともと五感刺激によるヘルスケアをテーマに、医薬品以外の分野でも様々な分野で人々の健康づくりを目指している会社だったので、「PxDTが持っている技術を使って何か新しいことができないか」との議論が始まっていきました。弊社代表の村上をはじめ双方の代表者が膝を突き合わせながら、まだ製品のコンセプトもない状態からアイデアを出し合いました。

そうやって3~4年ほどかけて議論を重ねる中で、継続的な製品の利用によってより良い状態を維持・実現できるよう、人々が日々の生活を変えることなく、より自然にヘルスケアができる新しいソリューション開発を目指す、というコンセプトが明確になり、毎日の生活に取り入れやすい「音」に関するアプローチでビジネス化を目指すに至りました。

ー「音」がキーワードになったんですね。

高澤 そうですね。でも実は、視・聴・嗅・味・触覚の五感刺激のうち、音によるヘルスケアの実現はまだもう少し先の話と捉えていたんです。でも実際に、私たちが開発したアルゴリズムによる変調音を用いた実験をしてみたところ、それなりの変化があるとわかりました。
加えて、人が聞くに耐えられるレベルの音として成立することがわかったので、実用化の兆しが見えてきまして。そこで「検証しながらではあるものの、実際に試作品を作ってブラッシュアップしていこう」との姿勢で、本格的に開発がスタートしていきました。

 超高齢化社会となった現代で、やはりヘルスケアの対象となるのは主に高齢層になってきます。そのため、製品化の段階で高齢者が抱える健康リスクに焦点を当てました。
一方で、製品化を進めるにあたって、ヘルスケアのために普段の生活を変えるのはなかなか難しい現状もわかってきました。そこで高齢層の生活スタイルに一番馴染みやすい音を使うシーンとして「テレビ視聴」に注目し、テレビに外付けできるスピーカーという形での商品化を決めました。

高澤 パートナー企業の五感刺激によってヘルスケアを目指す視点と、こちらの研究テーマがうまく組み合わさり、製品開発が実現できました。

新しいビジネスを切り拓く難しさと面白さ

ー量産化や販売開始に至るまで、具体的に苦労したポイントはどこでしょう?

高澤 開発側としては、日常生活に取り入れても違和感がないレベルの音に調整していくのに時間がかかりました。また、1日でも早く必要な方に商品を届けたいという関係者全員の思いから、販売開始のターゲット日がすでに決まっていたので、スピード感を持って開発を進めていくのも大変でした。

 ビジネスサイドでは、様々なパートナー企業関係者の方々を巻き込んで1つのものを作り上げていく過程に苦労しました。特にPxDTが手がけているのは、まだ世の中に存在してない全く新しい製品なので、それが受け入れられる市場の土台作りから取り組む必要があります。

市場が醸成されていないところにいきなりプロダクトを投入しても、人々の興味を引きつけたり、購入の動機づけをしたりするのが難しいので、まずは先駆けて「ムーブメントを起こしていく」という作業が重要になってきます。ビジネスサイドを主にリードする立場として、かなりこの部分に力を注ぎました。

開発に至るストーリーや製品に込めた思いを丁寧に語ることで、価値や意義を伝えていきたいと考えていたので、「どんな言葉で、どのような表現で、わかりやすく商品コンセプトや実現したい状態について伝えていくか」を関係者を巻き込んで何度も議論しました。

ー製品を確実にユーザーに届けるための試行錯誤があったんですね。その後の商品発表によって、モチベーションや心境の変化はありましたか?

 そうですね。発表前はどちらかというと、1日でも早く商品を必要とする人に届けられるように、とにかく開発や土台作りに集中しているような感じでした。プロジェクトを前に進めていく、目の前の仕事を確実にやっていくことに焦点が当たっていましたが、発表後は改めて自分たちの仕事の意味や意義に立ち返って考える時間が増えてきたように思います。

実際に製品の販売が開始し、他社を巻き込んだ取り組みが本格化するにつれて、あらゆる技術、製品を通して「世の中のため、人々のためになる仕事をしていきたい」という思いがますます強くなり、PxDTが掲げている「社会課題の解決」をより身近に感じるようになりました。

高澤 私も発表までは開発に精一杯という感じでしたが、販売開始を経て、すでに届いた商品がどんな風に使われているのか、ユーザーの使用感などに意識が向くようになってきたと思います。

事前のテストを繰り返したおかげで、今のところ不具合やトラブルがなく安心している部分もあります。一方で、届けて終わりではないので、今後もコールセンターに集まるユーザーからの声を聞きながら改良など行っていければと考えています。

目指すべきは「社会課題の解決」!アプローチは無限大

ー今回の開発に携わる中で改めて感じられた、PxDTの魅力はありますか?

高澤 やはりシーズの段階からビジネスを作っていくことができるのが、大きな魅力だと思います。そもそものコンセプトを作るところからスタートして、本当の意味で「0からのものづくり」に関われるのが特徴だと思います。

私は弊社代表の落合の研究室からそのまま新卒入社しているので、他社と比べてどうか、ということは言えないのですが、研究が1つの形になって市場に出ていくのを体験できるのはPxDTだからこそできる魅力だと感じています。これまで誰もやったことのない、見たことのない製品を実現していける、何もないところからビジネスを作る。そこがやはりPxDTならではだと感じます。

辻 PxDTには魅力的なカルチャーがあると改めて感じました。開発メンバー含めて、「社会課題の解決」というビジョンに対して非常にピュアなんです。

弊社代表の落合が掲げたPxDTのミッションがまさに言い得て妙というか、本当に全てがここに表現されていると感じるのですが、私たちがやるべきは「社会課題の解決」。そして、「社会的意義のある新しいビジネス」を連続的に生み出していくことに尽きるので、そのためのアプローチについてはあえて言及されていないのです。

ここがPxDTの面白いところで、絶対にこれを使わなければいけないとか、こうしなければいけないことがないので、具体的にどういう社会課題が解決できるのかさえクリアになっていれば、言ってしまえば手段はなんでもあり。人の役に立つ、社会にとって意味のあるものを作ろうとする思いを純粋に突き詰めていけるのが唯一無二のPxDTの魅力であり、価値だと思います。

また、大企業にあるような縦割り組織ではないので、研究・製品開発・事業開発の距離が非常に近いという特徴も魅力だと思います。事業開発は経営にも近いので、意図せずビジネスの視座が引き上げられ、自分が期待する以上に成長ができる環境でもあります。

メンバーの共通項は「プロフェッショナル」「リスペクト」「謙虚」

ーPxDTの社員に共通する特徴などはありますか?

 PxDTが大事にしている文化として、他者へのリスペクトと謙虚さがあります。まさにそれをしっかり持ち合わせ、職域を問わずにチームプレーができるメンバーが集まっていると感じます。

高澤 大きな特徴としては「相手を否定しない」という点です。本当に様々なバックグラウンドや得意分野を持つメンバーがいますが、異なるからこそお互いをプロとして認め合っていて敬意を払っています。たとえ、意見の違いが出たとしても理性的な話し合いができますし、マウントを取るようなこともないですね。非常に気持ちのいいコミュニケーション環境だと思います。

 それぞれが知識・経験豊富であるがゆえに、言語化も的確であるという傾向もあるように思います。異なるポジションの相手にも理解しやすい言葉で説明できる人が多いですし、反対に受け取る懐の深さもあるので、相互理解がスムーズです。

高澤 皆、自走できる人たちです。コンセプトが決まっていなくても、とりあえずものを作ってみて検証してみるなど、自分で判断して行動する姿勢のある人が多いですね。


ーチームコミュニケーションにおいては、どんなことを意識しているのでしょうか?

辻 チームマネジメントをする立場としては組織作りにも気を配っていますが、特に情報共有の面ではなるべくオープンにするよう心がけています。

本来であれば特定の人以外は知らなくてもいいようなことでも、問題がない限り全員が見られるSlackのチャンネルに投稿するようにしています。これによって、担当業務がどこに関わっていて、どんな意味があるのかがわかるようになるので、全員がプロジェクトに関わっている一員であると認識できます。

自分の業務という”点”の視点で仕事をしていると、影響のある業務への配慮ができにくくなります。”線”の視点で仕事をできるよう可視化することで、密なコミュニケーションが取れますし、一体となって1つのものを作り上げている雰囲気ができていると思います。

 

ー最後に、今後の展望を教えてください。

辻・高澤 高齢者が抱える健康リスクにフォーカスしたヘルスケアの研究は、今後も継続していきます。現在はその経過を確認したり、派生した新たな製品開発計画にも着手しています。今回は音に焦点を当ててスピーカーを作りましたが、「スピーカーを作ること」が目的ではありません。聴覚以外の「五感刺激によるヘルスケアの実現」を目指すプロダクトのさらなる開発も視野に入れています。

今後も「社会的意義のある新しいビジネス」を生み出せるよう、PxDTの開発力を生かしつつチーム一丸となって取り組んでいきたいと思っています。
 

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